1.検診|側弯症と子供|脊柱側弯症(側湾症)|東京都新宿区・柳沢療法研究所

側弯症と子供

側弯症と子供

学校の検診

子供の側弯症

子供の側弯症には、先天性の側弯症と後天性の側弯症があります。先天性の側弯症は、生まれつき、脊椎の椎骨がいびつであったり、椎骨同士が癒着していたりして、背骨が曲がってしまっているものです。

後天性の側弯症には、突発性脊柱側弯症と機能性脊柱側弯症があります。突発性脊柱側弯症は、脊柱がねじりを伴ってS時に曲がってくる病気で、主として学童期に突然に発症し、短期間で急激に進行し、女児に多い特徴があります。原因は分かっておらず、遺伝ではないとされています。機能性脊柱側弯症は、姿勢は悪かったり、習慣性の動作の偏りがあったり、何かの外圧が脊柱にかかったなどの原因によって発症し、これは学童期のみでなく、生涯を通して発症する可能性があります。ねじれは比較的少ないのですが突発性側弯症と同じようなラインに曲がることが多いので、判別は困難です。

側弯症の集団検診

側弯症は、最近は小、中学校での側弯症の集団検診で発見されることが多いです。側弯症の集団検診は、私の子供のころにはありませんでした。私の所にいらっしゃる側弯症の患者さんで、40代ぐらいの方は、「学校の検診で言われた」という方もいれば、「集団検診などなかった」という方もいます。集団検診がすべての学校で行われるようになったのは、今の30代の人が小学生の時ぐらいからではないでしょうか。それまでは親がお子さんの姿勢の異変に気付くとか、体育の時間に馬跳び(馬になる人が屈んで背中を丸め、飛ぶ人が馬の背中に手をついて跳び箱を飛び越す要領で飛ぶ遊び)をしたときに、「○○ちゃんの背中はでこぼこしていて飛べません」などという訴えが出て側弯症が見つかった、といった話をよく耳にしました。小、中学校の集団検診が普及する以前は、側弯症と分かった時にはずいぶん症状が進行してしまっていたということが多かったようです。

モアレ検査器の普及と早期発見

集団検診が始まってからも、やるかやらないか、その頻度はどのくらいか、検診は保険の先生あるいは校医の先生など誰が担当するのか、といった内容が各自治体任せであって、検診の精度もまちまちであったりしたようです。最近では集団検診の頻度も増えたり、モアレ検査器(背中のでこぼこを、光の等高線を表示させて左右の模様の違いを診る機器で、左右の模様が均等であれば正常、違いがあれば側弯症が疑われるというもの)を導入している学校も増えているようで、だいぶ検診の精度が上がり、初期のうちに発見できることが多くなりました。

側弯症の発症頻度

それでは、側弯症はどれくらいの頻度で発症するのでしょうか。詳しい統計は存じておりませんが、以前「60人に1人」という数字をある文献で見たことがあります。学校の集団検診の精度が高まってきた現在では、クラスに一人ぐらいは側弯症の疑いありと指摘を受けているのではないかと思われます。

親御さんの心構え

「疑いあり」と言われたら

集団検診で「側弯症の疑いあり」と診断された児童は、脊柱側弯症もしくはその疑いがあるので「整形外科へ行くように」と指示される紙を持たされて家に帰ります。それを見た親御さんは大変驚かれます。脊柱側弯症という病名を初めて知る方も多いでしょうし、「何やらわが子が難病らしい」と、青天の霹靂というか、非常にうろたえるお母さんも多いようです。ただ、学校が整形外科を受診しろというのだから、整形外科へ行けば治してもらえるのだろうと思われる親御さんも多いことでしょう。

整形外科の対応

そこで親御さんは子供を整形外科に連れて行きます。整形外科では、まずレントゲン(正確にはX線画像と言いますが一般に通りのいいレントゲンと記します)を撮り、定規を当てて線を引き、背骨の曲がり具合を角度(コブ角といいます)を測ります。大概は軽度のものが多いでしょうから、「経過観察」といって、「様子を診ましょう、また半年後にレントゲンを撮りに来てください」と言われて返されます。「脊柱側弯症」という病名だけ告げられ、何もしてもらえません。側弯が進行していたりすると、最近では側弯症専門外来のある大きな病院が増えてきたので、そちらへ行ってくださいと言われるケースも増えてきました。また、近くに側弯症専門外来のある病院や、大学病院がある学校では、直接そこに行くようにとの指示もあるようです。

何もしてくれない病院

側弯症専門外来や大学病院の整形外科でもすることは同じです。背骨のレントゲンを撮って角度を測るだけ。経過観察の頻度が六か月に一回から三か月に一回になったりするぐらいの違いはあったりするようですが、基本的には一緒で何もしてくれないことは同じです。
ここで問題が起きます。学校で集団検診をして病気が見つかり、病院へ行けと言われて病院に行ったのに、何回通ってもレントゲンを撮るだけで何もしてくれません。何のための集団検診だったのかと医療不信になる親御さんもたくさん出てきます。これは、学校や病院が患者さんに対して側弯症というものに対する十分な説明がなされていないことが原因で起こる悲劇でしょう。

「経過観察」とは何か

それでは、病院では経過観察と言って何を見ているのでしょうか。病院では一般的に、側弯症における脊柱の曲がっている程度(コブ角)に対して、二つの基準値を持っています。病院は、この基準値を元に側弯症に対して行う処置を判断します。
その一つは、「コブ角が25度未満か以上か」。そしてもう一つは「コブ角が50度未満か以上か」です。25度を超えると装具(コルセット)の装着を勧めます。そして、50度を超えると手術を勧めます。25度以下ですと、何の処置もしません。「また6か月後ないし3か月後に来てください」と言われて終わります。
脊柱の湾曲の度合いは、一番曲りの大きい椎骨と椎骨の間に定規を当てて線を引きます。これを二か所行い、二本の線のなす角度を測ります。ですから、角度が0度ということはまずないでしょう。通常10度以内であれば正常と見なし、それ以上であれば側弯症という診断になります。

検診の意義

現在の医学では側弯症は治せない

残念ながら、現在の医学では側弯症は治せません。それは、原因が不明の突発性の側弯症であろうと、原因が推測できる機能性の側弯症であろうと同じです。抜本的な治療法は見つかっていません。唯一「治療」と言えなくもないものは、手術のみです。これは、すべての医師の共通の認識です。ですから病院では、側弯症の種類は意識せずに、その角度のみに着目して対症療法を行います。

学校で集団検診をする本当の意義

それでは、治らない病気であるにも関わらず、学校では何のために集団検診を行い、病院では何のために経過観察を行っているのでしょうか。学校の集団検診は、できるだけ早期に側弯症を発見することを目的としています。そして、それを引き継いだ病院の「経過観察」では、「装具を付けるか否か」のタイミングを見計らい、悪化したら装具を付けてもらいます。子供が大人の体に成長するまで、手術をしなくてはならないまでに悪化するのを、何とか抑え込むためです。

私は、学校で行われる集団検診の意義はこのことのみにあると思っています。このことを病院の医師は労をいとわずに子供の親御さんによく説明して、納得して通ってもらうようにしてあげほしいものです。

レントゲン検査は測る人、測る時期によって誤差が出る

レントゲンの話に戻りますが、最近ではパソコンで自動的に線を引いて角度を測るソフトを導入している病院も増えてきました。しかし、人が角度を測る場合だと、別の人が測ったり、同じ人が測っても二回測ると、5度程度の誤差は出るそうです。また、レントゲン機器の前に立つお子さんの立ち方、重心の掛け方によっても異なって写りますし、「両手を上にあげて撮ると真っ直ぐに写る」と仰る整形外科の先生もいらっしゃるぐらいです。ですから、少々の違いであれば、レントゲンを撮りに行くたびに、「良くなった、悪くなった」と一喜一憂することは、あまり意味のないことだとお考えください。

側弯症と民間療法

病院と民間療法

お子さんを側弯症と診断されると、多くの親御さんはお子さんを病院に連れて行きます。しかし何もしてもらえないので、心配になって焦りを感じ、民間医療に連れて行くこともあるでしょう。接骨院、整体、カイロプラクティック等々。しかし、残念ながらこれらの所へ行っても、効果はほとんどないことが普通です。一度曲がってしまった背骨は、牽引しようが、電気をかけようが、ボキボキ鳴らそうが、針を刺そうが伸びません。

ですので、うっかり病院の先生に「整体はどうでしょう?」「カイロプラクティックへ行ったら治りませんか?」などと聞こうものなら、「そんなところへ行っても治らない、行くだけ無駄です」と一言のもとに否定されてしまうでしょう。

私の所へ側弯症のお子さんをお連れになられたあるお母さんが、有名な大学病院へ行ったら若い女医さんに「絶対に治りません!」と言い放たれてしまった、としょげ返っていらっしゃいました。その話を伺って、もっと言い方があるでしょうにと私は同情を禁じえませんでした。

現代医学の限界

私の師事したある流派の先生は、「国連のWHO(世界保健機関)では、現代の医学で治せる病気は全体の25%である、と言っている。」と常々おっしゃっていました。つまり、現代の医学は日進月歩で進歩しており、多くの病気がどんどん治せるようになってきているという思い込みは幻想であるのです。確かに、日進月歩で進歩している分野もあるでしょうが、まだ多くの病気が治せていないのが現実なのです。

身近な例を挙げますと、成人病がそうです。癌はもとより、糖尿病も高血圧も治せていません。薬で折り合いをつけて生活しているだけです。病院に行く人が最も多いと言われる風邪ですら、未だに特効薬が見つかっておりません。お医者さんにも病気に対して分かっていないことがたくさんあるのです。

民間療法の可能性

前述の側弯症のお子さんを治療しながら、以前私の所に膝の治療で通われていたあるご婦人の患者さんから伺ったお話を思い出しました。その方は、私の所にいらっしゃる前は近くの総合病院に通っていらしたのですが、そこの整形外科に有名な先生がいらして、その先生に診てもらっていたそうです。その時は、そんな大先生の治療を見限って私の所に来るなんて変わった方だなと思いました。普通、そんな偉い先生に診てもらっていたら、たとえ治らなくともそれだけで満足して通い続ける人が多いのではないでしょうか。

その偉い先生がある時こんな話をされたそうです。以前ひどい腰痛に悩まされたことがあって、自分でいろいろ検査をしてみて「これは手術をするしかない」と診断を下したそうです。そこへ医師仲間の友人から「騙されたと思ってここへ行ってみろ」と、とある整体院を紹介されたそうです。その先生は整体など信じていませんでしたが、あいつがそれほど言うならと、そこへ行ってみたそうです。そうしたら、自分では手術するしかないと診断したひどい腰痛が、なんと二回で治ってしまったというのです。「世の中にはまだ俺の知らないことがあった」とその先生がおっしゃったそうです。

幸い、先のお子さんの治療はうまくいって、側弯を改善してあげることができました。そこで私は名医の先生の述懐を思い出して、「絶対治りません!」と言い放った大学病院の若い女医さんに言ってやりたい思いに駆られました。「世の中には、まだあなたの知らないことがあるんですよ」と。

側弯症とご両親

お子さんの側弯症はお母さんのせいではありません

側弯症が進行してきますと、親御さんの悩み、苦しみも大きくなります。特にお母さんの苦悩は深刻です。もし自分が側弯気味であったなら「遺伝したのではないか」と悩み、そうでなくとも、「自分がもっと早くに気付いてあげていれば、こんなに悪化することは無かったのではないか」と悔やまれます。

私はそんなお母さんに申し上げます。「この病気は遺伝しません。それから、仮にもっと早く発見していたとしても、現代医学では何も出来なかったでしょうから同じことです。お母さんのせいでは決してありませんので、どうか悔やまれないで下さい」と。

また、「もっと早く伺っていれば、もっと良くなったでしょうか」と時々聞かれますが、「そんなことはありません。今がいい機会だったとお考えください。」と申し上げています。

実際、私の施術の場合、小さい子供の時期ほど治療効果が上がるのではないかと思われがちですが、物心のついていないお子さんは、こちらの指示に従ってじっとしていてもらえなかったり、骨が柔らかすぎて位置が決まらなくてやりにくいといった面もあり、
かえって中、高生の方が治療しやすい面があります。

私の母の苦悩

私事ですが、私と弟は子供の頃ずいぶん痩せていてひ弱な子供でした。私も弟も、そのことにコンプレックスを持っていました。私たちはエキスパンダーを買ってもらい、毎日筋トレをしました。その成果があったのかどうか、私は高校生の頃には多少ましになったのですが、弟はあまり効果が出ませんでした。痩せ形の体型は筋トレをしても筋肉が付きづらいのです。母の苦悩は弟に集中しました。「赤ん坊の時にもっとお乳をたくさん飲ませればよかった。」と事あるごとにそのことを言って悔いていました。それは弟が成人してからも変わらず、母は生涯そのことを悔いていました。母親とはそんなものなのでしょう。

ですから、私の所に初診時にお一人でいらっしゃった若い女性には、帰り際に「家に(または実家に)帰られたら、お母さんに診てもらって下さい」とお声がけします。これまでずっと苦悩されておられたであろうお母さんに安心していただきたいと思うからです。中には「私より母が喜ぶと思います。母はずっと心配していましたから。」とおっしゃる方も少なくありません。

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